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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第161号       ’02−11−22★

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     BM/KT

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●前号、<高I低E>タイプ

 

について書き綴っているうちに思いました。 ブレーク/ムートン風に

言い換えると、こりゃ<9・1型>そのものだな、、と。

 

 

<ブレーク/ムートン>(BMとでも略しますか)とはロバート・R・

ブレークとジェーン・S・ムートン、1964年の共著書<The Managerial

Grid> で「グリッド理論」を世に広めた学者コンビ。

 

 Rational Process も<ケプナー・トレゴー(KT)法>と称されて

いるように、C.H.ケプナーとB.B.トレゴー、コンビの研究。 

 

 またそれが1965年の <The Rational Manager>、1981年の <The New

Rational Manager>、十数年を隔てて2冊の本で発表されたように、

 

BMにも<2冊目>、<The New Managerial Grid>(1978) があります。

まず現場的な観察からいくつかの法則を導き出し、それらを理論的体系

にまとめ上げて一旦出版公開。 そのあと

 

長期に渡って実践応用面を追跡し、事例や活用上の注意をも盛り込んで

<The New> として洗練再出版、、、 アチラ風スタイル、でしょうか。

 

 尤もKTコンビの場合、(第33号既述)1冊目では未だ<4領域>

 の区分が判然とせず、漸く2冊目で体裁が整ったりしましたが、

 

 BMの方は1冊目からすでに完成品、理論の紹介から組織での活用法

 まで整っていました。 が、これから、とおっしゃるお忙しい方には

 <The New> をお勧めします。(「新・期待される管理者像」 産能大

 出版部 1979年) さらに92年、同じく産能大から集大成・再構築版、

 「全改訂・期待される管理者像」が出ましたが、これはムートン女史

 ではなく、マッケーンスとの共著です。

 

ほかに1970年の <The Grid for Sales Excellence> などもあります

が、いわばグリッド理論の特定用途版。 <原理>は応用自在なもの。

あなたのチーム専用版、試みられてはいかが?

 

*   *

 

<新>では、第1章で自己診断、第2章で理論のおさらいを行なった後、

第3章から第7章は各類型の行動的特徴や組織活動における人間関係へ

の影響などを細かく分けて解説しております。

 

5類型に当てられた頁数を見ると、理想的な(つまり、ほとんどいない)

<9・9型>が当然ながら最多。 そしてそれに次ぐのが、記述順1番

の第3章<9・1型>。 これはいわば<仕事のオニ>、

 

ホトケの9・9型とは対照的に<どこにもいる>し、影響力が大きいし、、

だからでしょう。 条件に恵まれれば最も速く成果を挙げるが、それに

おいて部下を苦しめることも一倍。 私見では、

 

高度成長時代の日本は<条件に恵まれ>ていたので、9・1型も<成果

を挙げる>ことが出来た。 が、その後、<条件>が様変わりしたのに

マネジメント・スタイルを変えずにいた9・1型は、成果が挙がらなく

なって躍起。 やたら<部下を苦しめる>ので1・1型が増えるばかり。

 

長期低迷も不思議ではありません。

 

*   *   *

 

「マネジメント・スタイル?」 考えたことも無い、と言う人は少なく

ない。 しかし、「うまく行かない。 どうしてなんだ?」と思ったら、

こうした<古典>が鏡代わり、自分の姿を点検してみるに限ります。

 

「でも、今さら変えられない」と言うのは、<原理>の功徳を知らない

人。 改めるべきは単に<マネジメントのスタイル>、<人間性>まで

変えよう、という話ではないのですから。

 

**********

 

 

 

●<マネジェリアル・グリッド>は

 

9行9列、将棋盤のような<格子>模様。 x方向左端が1、右端が9。

y方向は最下段が1、最上段が9。 xは<業績に対する関心>、yは

<人間に対する関心>。 x=9、y=1の<9・1型>というのは、

 

業績に対する関心は最高に抱いているが、人間的関心はサッパリ、の人。

「結果を出す」ことが求められる企業組織にはこの精神構造がピッタリ。

一旦リーダーになれば権威を嵩に、絶対服従を迫る。 コワイ人。

 

部下に授ける目標は事実上ノルマ。 達成圧力をかけ、失敗者は罰する。

統制力維持のため常に攻撃的、何を言っても無駄、ワカッテクレナイ人。

その一喝を恐れて部下は寄り付かず、従って後継者が育たない。 

 

自分に有利な情報に固執し、その外の情報は敢えて無視。 で、視野が

狭い、柔軟性が無い、の定評。 部下の異見は抑圧し、イエス・マンを

取り立てる。 まともな人はヤッテランナイ気分、だから

 

部下は自らを守るべく<1・1型 ヤラナイ人>になる。 「やれ」と

言われたことしかせず、同僚にも冷淡、無関心。 前々号<過労自殺>

者の同僚も、まさにそれ。 「みんな自分自身のことで精一杯」、「彼

がそこまで追い詰められていたとは気付かなかった」、、

 

 

<不祥事>のたびに露見する<隠蔽>体質も、9・1型的マネジメント

の所産。 コワイ<上>に睨まれたくないから、<上>の気に入るまい、

と思えば事実隠して知らん顔、、 

 

そのため<好ましくない>情報は、報告を上げる各段階で次々自動的に

取り除かれてしまう。 TV画面でギゴチなく謝罪する<上>が「それ

は知らなかった」と言うのは、従ってウソではないのかも。

 

だから許せ、ではありません。 ただ、彼らは(自らの9・1的行動の

結果)<裸の王様>になっていた、のでしょう。 即ち情報の時代には

不適な人々。

 

そんな9・1型が主宰する会議は、普通<独演会>。 お説を拝聴して

いれば機嫌良く、なまじの質問は落雷を誘うだけ。 どうせいつもの話、

聴かなくても分かるよ。 もの言えば唇さむしだぜ、、 になる  

 

のが「9・1型であってはまずい」と言う最大の理由です。 管理職は

本来<問題解決者>、その第一歩は<正確な事実の把握>、なのにそれ

が隠蔽や演説で果たせない、従って問題は解決できない、即ち管理職の

職責が全うできない、、から。 我が無責任官僚体制はその一例。

 

*   *

 

思い通りにしたいだけ、他人は踏み台、、 がクセになってサディスト。

結果を得ることより、相手を傷つけることに快感を覚える。 その一方、

 

自分自身の冷酷さや他人への強い敵意を無意識的に自覚し、その基準で

他人を推し測るものだから、疑心暗鬼、常にストレスいっぱい、、 

 

それが心身不健康のもと。 疲労感や偏頭痛、時に心臓発作を起こす、、

とBMは説く。 実際、私のよく知る典型的9・1男は絶えず体調不良

をボヤいておりました。 すべての関心は<自分>に集中、

 

一種の自惚れ状態なので、周囲の注目が気になり、賞賛は無条件大歓迎。

褒められたいがため、成功の<質>より<量>を追う心理、<利益無き

繁栄>の愚を犯してでも件数や総額にこだわる、、 キリの無い人。 

 

こう色々並べ立ててみると、9・1って本当にイヤなタイプ、ですなあ。

あなたはまさか、<そんな人>じゃないでしょうね? 

 

ほう、「、、じゃない」、ですか? じゃ、あとでチェックしましょう。

 

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●BMコンビのグリッド理論は

 

明快で実際的、ご研究あれとお勧めしてやみませんが、問題が無いわけ

ではない。 たとえば自己評価の方法が記述文選択式なので、人間の常、

現実とは別の<願望的自分像>を描いてしまいがちになること。 また、

記述文の内容がアチラ的なため、日本的現実に当てはめにくいこと。

 

従って、きわめて説得的で有用な方法ではあるが、我々の環境で直ちに

効果を生じさせることが出来るか、やや疑わしく思われます。

 

しかしご心配なく、その不足を補うツールがあります。 それはご存知

Rational Process <状況分析:SA>。 あなたが抱えている課題を

<ステートメント>にして(順不同結構)ズラリ書き出すのです。

 

 

次、それらの頭にAかHの文字マークを付けてみましょう。 Aは業績

(achievement)、Hは人間(human)の略。 その課題が<業績関連>

ならA、<人材関連>ならH、と迷わず2分類して行きます。

 

私が担当したEM法研修、SA実技演習では、各自の課題群が出揃った

ところで、この作業をお願いしました。 すると、、 おや、Aだけ?

業績に対する関心ばかり、人間に対する関心はサッパリ、の<9・1>。

ははあ、皆さん<仕事のオニ>なんですね、、 となるわけ。

 

で、あなたのには、H、ありましたかな? やはりAばかり、でした?

じゃ、あなたもかなり<イヤな奴>、ってことですな、、

 

は冗談、要は捉え方。 たとえば「X業務捗らず」が悩み、と書けばA。

ですが、それはたとえばY君の担当。 ほかの仕事ではやり手な彼が、、

で、Y君に照準を定めれば、

 

そうか、彼のZ能力が不十分、が問題なんだな、と気付く。 そこから

たとえば「Y君Z能力強化策の選定」といったステートメントが浮かび

出れば、これは間違いなくHマーク。

 

何せ管理職は<部下の手を通じて業績を挙げる>立場。 力を貸さずに

済むメンバーばかりだったら、あなたの存在も必要なくなる。 一方の

Aを念頭に置きつつも、その達成にワン・クッション、H項目を介する

方が有効かつ波及効果大、な場合が多いのです。 

 

*   *

 

従って、(ステートメントの立て方が適切なら)SAでマネジメント・

スタイルを判定することは可能。 しかも、あなた自身作成のデータに

基づいてですから、文句は無いでしょう。

 

付けたマークがHばかりなら1・9型、A、H半々で項目数が多ければ

9・9型、少なければ5・5型、とでも見ましょうか。 何も出せない

人は1・1型、まあ、いないと信じますが、、

 

BM説の結論は、好業績を長く維持するには9・9で行くに限る、そう

すると心身の健康にも良い、ということ。 人間的関心、まさに「人の

ためならず」。 でも当今、そんなことじゃ誉めてもらえない。 即ち

 

<業績>も<人間>も、いわば企業<内>の関心。 企業は社会公共の

存在ですから、現代的には<内にしか目が向かない管理職>は失格、の

認識。 x軸<業績>、y軸<人間>に加え、z軸<社会>が無くちゃ、、

 

そのどれに対しても<9>を目指そう、理想は<9・9・9>!、、が

たしか山之内製薬の社員行動指針<スリーナイン>でした。 部下育成

は<9>、業績赫々で<9>、だが社会的配慮なし<1>、ではもはや

<まとも>とは評価されない時代です。

 

では、<社会に対する関心>の項目にはたとえば<S>を付けるとして、、

あなたの書き出した課題群の中に、Sマーク、いくつあるでしょうね?

                          ■竹島元一■

    ■今週の<私の写真集から>は ★来ちゃイヤ!★

 

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